qshinoの日記

Powershell関係と徒然なこと

集団免疫策の課題

集団免疫への道は死者で舗装されている

集団免疫とは

感染症は免疫がない人が感染者に接触すると、ある確率で感染する。しかし、周囲に免疫を持った人が増加すると、免疫を持った人に感染しない事により、感染拡大速度が低下する。一定数以上の人が免疫を持つと、感染が収束する。

誰も免疫を持たない集団において、一人が感染させる人数をR0とすると、

集団免疫指標 = 1-1/R0

により表されるとされている。免疫保持者がこの指標の比率の時、感染が収束する。

集団免疫の前提条件

集団免疫成立には数点の前提条件がある

  1. 回復者が免疫を獲得する
  2. 感染者の十分多くが回復する
  3. 獲得免疫が集団免疫迄継続する
  4. 集団免疫に至るまでの死者を社会が許容できる

まず、対象の感染症に対する免疫を獲得できる事が大前提となる。

次に、感染者が全て死亡する感染症では免疫者が発生せず、あるいは多数が死亡する感染症では十分な免疫者が発生せず、実質的な集団免疫とならない。

更に、獲得した免疫が集団免疫獲得に至るまでの期間持続する事が必要であり、集団免疫獲得前に免疫が失われると、永遠に集団免疫に達しないか、感染終息前に集団免疫を失い、再び蔓延する。

最後に、感染症で大量の死者が出る場合、その大量の死者を社会が許容できる事が必要である。集団免疫到達迄に人口の大半を失う様な場合、集団免疫への理解を得る事は難しい。

新型コロナ COVID-19

新型コロナは一般的には風邪の原因となるコロナウイルスの一種である。SARSやMERSの様な感染症である。

前記前提条件1. 免疫について。

人類は風邪に対する免疫をほぼ持たず、毎年あるいは年に数回風邪に掛かる人もいる。

さて、新型コロナでは、抗体検査による抗体が確認されており、抗体自体は形成されているものと思われる。

一方、感染回復者の3割が抗体を持たず、抗体を持つ人の中にも抗体の量が非常に少なく免疫力の発揮に疑問と思われるケースがあったとの報告がある。

前提条件2は、新型コロナの致死率は地域の医療の質に依存するが数%から10数%であり、回復率では8割から9割であり、回復率では集団免疫の可能性はある。

前提条件3の免疫期間に関しては、新型コロナの免疫期間に関しては明確な報告が無い。一方、既存のコロナウイルスにおける免疫期間は3-12ヶ月との報告があり、集団免疫獲得に必要な数年〜数十年には不足する。

前提条件4、死者の社会許容については、個人の判断であり、個々に判断して欲しい。

参考

集団免疫への道は死者で舗装されている https://medium.com/@bigstone/only-containment-is-the-option-e689ba0b22ef

集団免疫は100年前の方策、鐘南山 http://j.people.com.cn/n3/2020/0319/c95952-9670037.html

経験を共有、鐘南山 http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2020-03/12/content_75805571_2.htm