qshinoの日記

Powershell関係と徒然なこと

イタリア、ロックダウン後のR

イタリアロックダウン後のR

Rは実行再生産数。感染症における一人が感染させる人数。

下記報告では、61千人の陽性確認者と37千人の入院者のデータを元にした。

Overall, the selected provinces and regions covered a total population of 37 million inhabitants, 61.3% of the Italian population and accounted for 61,707 symptomatic cases (90.4% of the total) and 34,708 (87.0% of the total) hospitalizations.

結果

  • ロックダウン前、R=1.5〜3.2
  • ロックダウン後、
  • 陽性者R=0.7
  • 入院者R=0.46

結果について

結果では陽性者と入院者のRに大きな開きがある。報告では検査対象が時々刻々と変わる影響が取り上げられているが、医療体制を考慮すると入院者のRがより適切と考えている。当初の検査体制では重症者をメインに検査し、検査体制の強化と共に軽症者に検査対象が拡充されたとすると、陽性者Rは検査体制による影響が大きく、入院者Rの方が母数の変化が小さいと考えられる。

日本

  • 北海道当初R=1.7
  • 東京R=2.5
  • 東京8割削減後目標R=0.5

イタリアのロックダウン後を見る限り、東京の削減目標は実現性として過剰。

日本のRについて

日本のRは1.7、2.0, 2.5 等様々な値が叫ばれている。北大、厚労省クラスタ班西浦さんは、東京では2.5を唱えている。

さて、西浦さんは8割おじさんとも呼ばれているが、R=2.5に対し接触8割削減を求めており、R=β x k x Dであり、接触8割削減はRの8割削減であり、R(削減後)=2.5 x (1-0.8) = 0.5が目標値。これはイタリアのロックダウン後確認者のR=0.7よりも大きな削減を求めており、かなり強い接触削減である。

対策について

8割削減を実現できれば良いが、イタリアの例を参考にするとロックダウンでも難しく、対策として他案も考えるのが現実的。

ロックダウン、あるいは自粛以外の感染症対策が必要であり、検出、接触者追跡、適切な対象者隔離を取り入れる必要がある。

つまり、自粛やロックダウンは感染症対策としては補助的な手段でしかなく、治療法やワクチンを期待するのは、最悪を想定すべきリスク管理として不適切であろう。

課題は、感染から何日以内に何割を発見し、何割を隔離する事で、どの程度Rを削減できるかの定量的な評価。及び、その予測、観測手段、対策実現体制と手法の構築。

発見、追跡、隔離の定量的評価と早期体制構築が望まれる。

参考

https://arxiv.org/abs/2004.12338